みぞれなべ

ネクロニカの面白挙動マニューバを紹介するよ

この記事は箪笥アドベントカレンダーの23日目の記事です。

概要

ユドナのログなんとかするやつ?なんですかそれ。間に合わなかったのでこれをでっち上げています。ネクロニカの面白挙動マニューバの話をします。

ネクロニカの戦闘ルールはそれなり程度に複雑で、いくつかどう考えてもバグじみた挙動をするマニューバが存在します。ネクロニカが大好きなので付け加えておきますが、バランスを壊す類のものはだいたいの場合、エラッタやFAQで対応が行われています。

これから挙げるのは「強くはないが処理が七面倒臭い」「処理はわかるが訳のわからない行動が必要になる」「文言の解釈によってはバグじみた挙動を引き起こす」など、いわばグリッチじみたことができるマニューバです。
今回挙げたマニューバを持ってくるのを控えてほしいという意図はありません。ただこういう面白挙動が存在するという与太話です。グリッチを見つけたら遊びたいし、人に話したいですよね?そういうことです。

付録:行動値の消費タイミング

これは直接的に面白に関連するわけではないので、「では本題です」まで読み飛ばしても構いません。
ネクロニカはNCにより無数のハウスルールが存在します。なかでも重要な(そしてNCにより処理の振れ幅が大きい)のが、宣言したマニューバの行動値はいつ消費するか?という問題です。
大まかに分けると、即時精算とカウント終了時精算があります。

即時精算

マニューバを宣言したら、即座にその場でコストのぶんだけ行動値を減少させます。一見、非常に明瞭です。
この明瞭に見える処理が実は厄介なのは、アクションマニューバ以外にも行動値を減少させるマニューバは多数存在するというところです。 例をあげます。

  • カウント1、ドールAとドールBが行動できます。
  • ドールAが先に【ランチャー】の使用を宣言します。ドールAは-3まで行動値を下げました。
  • ドールAの【ランチャー】に対し、ドールBが【アームバイス】で支援を宣言しました。ドールBは-1まで行動値を下げました。

この処理の何が問題かというと、ドールBがカウント1で宣言するべきアクションマニューバの宣言がされていないのに、ドールBは行動値を使い果たしてしまっているという点です。
これではドールBはカウント1でのアクションマニューバを宣言できません。(したくないという状況があるのは百も承知ですが)カウントが回ってきたら、アクションマニューバを宣言する必要があります。

この状況を解決するためには、以下のような処理になります。

  • カウント1、ドールAとドールBが行動できます。
  • ドールAが先に【ランチャー】の使用を宣言します。ドールAは-3まで行動値を下げました。
  • ドールAの処理を行う前に、ドールBにもアクションマニューバを宣言してもらいます。
  • ドールBは【スコップ】の使用を宣言し、カウントを-1まで下げました。
  • ドールAの【ランチャー】処理を行います。失敗したかもしれませんが、カウントが既にマイナスに到達しているドールBは【アームバイス】を使用することはできません。
  • ドールBの【スコップ】処理を行います。

つまりは該当カウントの頭で全てのアクションマニューバを宣言させ、行動値を消費し、そして順番に処理を行います。わかりやすいですね。

問題はただひとつで、NCの頭の容量です。【ランチャー】処理を終わらせるまで、次に【スコップ】が控えていることを覚えておく必要があります。

簡単そうですか?姉妹4人が【ランチャー】【芝刈り機】【スコップ】【名刀】を宣言した上、【名刀】に対しラピッドで【ホッパー】【キャンサー】を併用して二回目の【名刀】を宣言され、挙げ句【無茶】で3回もダイスを振り直され【アームバイス】と【よぶんなめ】【エンバーミング】で支援妨害を打ち合ったとしても、一番最初の【ランチャー】を覚えていられるでしょうか。無茶を言うな。
できる自信がありますか?おめでとうございます、あなたにはNCの適正があります。卓を立てましょう。

しかしNCの頭の出来が悪いという問題は、テキストチャット併用を前提にしたオンラインセッションならある程度解決可能です。最悪、宣言用のタブと実際の判定を行うタブを分離しておけばいいだけです。

カウント終了時精算

こちらは直感的ではありませんが、即時精算よりはいくらかNCの負担が少ないです。 例をあげます。

  • カウント1、ドールAとドールBが行動できます。
  • ドールAが先に【ランチャー】の使用を宣言します。
  • ドールAの【ランチャー】に対し、ドールBが【アームバイス】で支援を宣言しました。
  • ドールBは【スコップ】の使用を宣言します。
  • カウント1の行動が全て終了しました。
  • ドールAは【ランチャー】で使用したコスト4を、ドールBは【スコップ】と【アームバイス】で使用したコスト合計3を支払います。

これならばNCが全ての処理を記憶する必要はありません。ドールBのプレイヤーはやや負担が大きいかもしれませんが、そのカウント中に自分自身のPCが何をしたか記憶しておけばいいだけですから、NCに負担が集中するよりは随分マシです。
一見して、カウント終了時精算は非常に合理的です。ドールBが即時精算処理では不可能なカウント-3に到達していますが、まあ、些細な問題と言えるでしょう。これ単体では。

問題はただひとつで、【煉獄の檻】です。
カウント終了時精算方式は、その性質上、マイナスの遥か彼方まで突っ込んでいくことが可能になってしまいます。【煉獄の檻】で10行動値ぶんを踏み倒すといった行動も現実的に可能です。さらに仮に【無限解体】を併用すると……。やめよっかこの話。とにかく、慣れたプレイヤーにとっては非常に悪用の余地が大きいです。

ただし、NCによっては手駒と姉妹の行動値精算タイミングを揃えることでせぼね戦法の阻止として機能させることもあるため、一概にPL有利とも言えません。

以上2種類が

ざっくりした行動値精算タイミングの差です。これは完全に一長一短で、せぼね戦法を許容するか、しないかという問題にも繋がります。NCによってはもっと違った管理の仕方をする人もいます。
片方の処理ではこれといって問題を起こさなくてももう片方の処理ではバランスブレイカーになり得るケースがいくつかあるので付録として書いておきました。

では本題です

今回ご紹介するマニューバはこちらです!

決して消えない【つめたいひかり】

【つめたいひかり】は一度使用するとターンが進むか【つめたいひかり】が損傷するまで効果を発揮し続けるマニューバです。これは【調律】【平気】と組み合わせると独特の挙動になります。

つまりは一旦【つめたいひかり】を損傷させたのち【調律】を使用した場合、NCから【つめたいひかり】を停止させる手段が存在しないということです。

【つめたいひかり】は【調律】の効果で使用することができますが、既に損傷しているため、損傷させて停止させることはできません。ターン経過を待つのみです。ずるい。

いつ【どろどろ】するのか問題

簡素な効果でさして強くもないのにひたすらに処理をバグらせるマニューバです。
「ダメージを受けた際」とは一体いつなのか……。

ダメージタイミングで宣言を行いますが、【庇う】を使用されたら庇われた側は【どろどろ】できるのか。
防御マニューバでダメージを0に抑えた時は?
そして二重に厄介な点として、どのタイミングで肉弾攻撃を行うのかも記述がありません。

アクションマニューバ以外のマニューバは後に宣言されたほうから即座に解決される、つまりスタック処理を行います。率直に解決すると、ダメージタイミングでラピッドと同様の処理を行うことになります。

しかしこの処理は、「【どろどろ】で攻撃者が解体された/攻撃してきたマニューバが損傷した場合どうするのか」という問題が発生します。ジャッジまで起こったのに攻撃者が消えて攻撃が失敗する、非常にわけのわからない巻き戻し処理になります。

ならば逆にダメージタイミング終了後、損傷処理まで終わったあとに処理すると「該当の攻撃で【どろどろ】が損傷した場合どうするのか」という問題が発生します。救いはない。

似たような問題を抱えるマニューバとして【銃型】もあります。ラピッドとアクション以外で攻撃を行うマニューバはだいたいバグります。

ただこちらはスキルである以上損傷しようがない上、「その後」という都合のいい文言が書いてあるので損傷処理のあとで射撃を行うとできるので、問題にはなりにくいです。【銃型】を使用したあと完全解体されてしまったら射撃攻撃は発生するのか?というバグを抱えてはいますが。

非常にバグバグしい挙動ですが、悲しくもありがたいことに、おそらくこれが現実的に問題になることはほとんどありません。【どろどろ】自体を見かけることがほとんどないからです。【銃型】のほうがまだ問題を起こしやすいです。悲しいね。

ビーチフラッグ【災禍】

ダメージタイミングで全体攻撃を後付けするシンプルなマニューバ、ですが特定のマニューバと組み合わせると独特の挙動をします。問題は【肉の盾】と組み合わせたときの理不尽な処理です。

ダメージタイミングもスタック処理を行うため、厳密に正しい処理を行おうとすると

  • 宣言が【災禍】➝【肉の盾】の順で行われた場合、【肉の盾】を処理する段階では【災禍】による全体攻撃は付与されていないため打ち消すことができず、全体攻撃が行われる。
  • 宣言が【肉の盾】➝【災禍】の順で行われた場合、【肉の盾】で全体攻撃を打ち消すことができる。

という挙動になります。

つまり確実に全体攻撃を通したい場合、ダメージタイミングに入った瞬間、【肉の盾】を宣言される前に【災禍】と絶叫するビーチフラッグが発生します。これは正しい仕様です。マジ?

逆説的に、何があっても【災禍】を載せられるわけにはいかない場合、相手の宣言など待たずにダメージタイミングに入った瞬間即座に【肉の盾】と叫ぶべきです。
支援リソースを盛られまくった大成功攻撃など、予防的に【肉の盾】を切ってでも防ぎたい状況は存在するでしょう。

ネクロニカで声デカビーチフラッグを強要するのはあんまりにもあんまりなので、現実的には全量なNCはPL有利!!!と心の中で絶叫しながら後出しされた【肉の盾】で【災禍】を打ち消すことになります。

【殺劇】って、全員持ってきたらどうなるの?

問題になるのは「同カウント内に他の姉妹が攻撃対象とした手駒」の解釈です。これはカウント開始時に姉妹全員にアクションマニューバを宣言させるタイプのNCの卓で特に問題です。

アクション同時処理の原則というものがあります。アクションでの処理は必要上順番に処理していくものの、実際の行動は同時に行われているというルールです。例えばアクションマニューバの攻撃で損傷したマニューバも「損傷」という結果が適応されるのはカウント終了時ですし、アクションで移動を行ってもカウント終了までは移動前の位置にいるものとして扱われます。

これを踏まえて、姉妹全員が【殺劇】を持っていて、同一の手駒を対象に攻撃を行うと宣言した場合の処理をどうするか。

「他の姉妹が攻撃対象とした」を、「攻撃する対象として宣言した」と解釈すると「全員の【殺劇】が効果を発揮する」ことになってしまいますね!

なお、この問題をさらに厄介にする要素としてラピッドの攻撃マニューバの存在があります。例をあげます。

  • 【殺劇】を持ったドールAが手駒Aに対し【パイルバンカー】使用を宣言
  • 【殺劇】を持ったドールBが手駒Aに対し【名刀】使用を宣言
  • ドールAの【パイルバンカー】に対し、ドールBが【手榴弾】で割り込み。対象は手駒A。

といった場合です。直感的には【手榴弾】に【殺劇】が乗るのは理不尽に思えますが、【パイルバンカー】を使用している段階で攻撃対象の宣言は終わっているはずです。これは【ホッパー】で手駒の攻撃射程外に移動し、攻撃マニューバを空打ちさせることが可能なのと本質的には同じ処理です。

そう考えると上記の状況では【パイルバンカー】【名刀】【手榴弾】全てに【殺劇】が乗る、というのが厳密な処理では?マジ?

現実的には「同カウント内に他の姉妹が攻撃対象とした手駒」を「同じカウント内に、姉妹の攻撃マニューバによって発生したジャッジタイミング処理を終わらせている手駒」と読み替えるのが適切だと思います。

大根卓ではハウスルールでそのように処理していますが、文句を言われた事はないので……いいかなって……。

いかがでしたかもクソもないですが

ネクロニカはRPでも戦闘でも楽しく殴り合うゲームです。
このような複雑奇怪な処理が走ることは極稀ですので、怯えず遊んでください。

このバグ挙動が面白かったですか?おめでとうございます、NCの素質があります。ドールと違って手駒は無理に強く作る必要はありませんし、ビルドに制限もありません。
きっとあなたの望むグリッチを再現し、PLに笑ってもらうことができるでしょう。卓を立てましょう。

箪笥アドベントカレンダー23日目、大根でした。明日はミシマさんの絵が見られるそうです。よろしくおねがいします。